ここまでの流れとこれからの展開を書いておきます。
働き方改革法案についてのこれまでの議論
所信表明演説で首相自ら「今国会は働き方改革国会」と銘打ったように
「今年は是が非でも働き方改革法案を通すぞ!」
という強い覚悟のもとに臨んだ国会でした。
が、いきなりつまづきます。
2月。
目玉制度だった『裁量労働制』に関するデータのミスが発覚します。
▼量労働制調査データ ミス?捏造? 厚労省、19日に精査結果公表(’18/2/16)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201802/CK2018021602000120.html
この後も看過できないような杜撰なデータが見つかり、
すったもんだのすえ『裁量労働制』を分離させることで決着します。
(この間の流れは2月18~28日の記事にまとまってます)
が、続いて問題になったのが『高度プロフェッショナル制度』。
政府説明はこんな感じ。
「対象は年収1075万円以上の金融ディーラーやコンサルタントなど専門知識を持った人に限られ、こうした人たちに対して、労働時間の規制を外し、休日や深夜の時間外労働の残業代をなくし、自由な働き方ができるようにするための制度」
平たく言えば、
「年収1075万円以上の人に限り、労働基準法の適用範囲外にします」
ということです。
あまり色んな人に関係ないんじゃないかって思われがちなんですが、
年収要件の緩和は政府の一存で決められるため、
「危険性は裁量労働制以上だ」
と指摘され続けてきました。
ちなみに経団連が求めている要件は「年収400万円以上」で、派遣法の時よろしく、緩和がどんどん進んでいくのではと危惧されています。
高度プロフェッショナル制度についての議論の詳細はこちら。
▼働き方 改革高プロは「働かせ放題」?(’18/5/24)
先程の厚労委員会で高度プロフェッショナル制度の根拠となるデータに”も”不備があることが見つかりましたが、加藤厚労相はこれを不問としており、与党と一部野党は本日中の委員会採決を予定しています。
▼厚労省データ、精査後もミス=野党指摘で発覚-労働時間調査(’18/5/25)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018052500644&g=pol
▼野党6党派が加藤勝信厚労相の不信任案提出 与党は否決後、法案の委員会採決目指す(’18/5/25)
https://www.sankei.com/economy/news/180525/ecn1805250049-n1.html
これからの展開
財界からの強い要請がある(はずな)ので、
野党がなんと今日のところは衆議院厚労委員会を通しちゃうんだろうと思います。
この後、衆議院本会議で承認され参議院に送付されるわけですが、
参議院では可決されなくても30日経てば自動的に成立します(衆議院の優越)。
ちらっと書きましたが、今国会の会期は6月20日までなので、本日中に参議院に送付したとしても自然成立は6月24日(たぶん)。
仮に週明けの28日送付だとしても6月27日が成立日となります。
森友・加計・イラク日報等、いたるところに爆弾を抱える現状で、
会期延長はしたくないのが与党側の本音。
「1週間程度なら耐えうる」
という判断なんだろうと思います。
ただ、日を追うごとに様々な情報が出てくる中、
このまま無風で終わるとは思えません。
今後の国会運営に大きく影響を与えそうなのが新潟県知事選。
▼新潟県知事選 原発再稼働検証 争点に3氏出馬(’18/5/25)
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20180525/ddm/002/010/109000c
与野党対決の構図になっており、
ここの結果如何では自民党内からの不満の声があがってくる可能性があります。
そもそも働き方改革法案も慎重な議論を求める声が多く
どちらかといえば『不人気』な法案なので撤回を掲げる人が出てきてもなんら不思議はありません。
▼働き方法案「今国会で」25%…読売世論調査(’18/5/20)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180520-OYT1T50126.html
まだまだひと波乱ありそうな、そんな情勢です。
結構みなさんにも影響与える話だと思うので、この先も情報流していきますー。