最近は選挙関連の話ばっかりで殺伐としていたので
今回はみんなが大好きなビールのお話をしてみようと思います。
昨年6月に改正され今年6月1日に施行となった改正酒税法についてです。
改正酒税法の内容と目的
今回の法改正のメインは
『大規模小売店によるビールの過度な安売りの禁止』
です。
▼小売価格が上昇 酒税法改正で安売り規制強化(’17/6/8)
https://mainichi.jp/articles/20170609/k00/00m/020/074000c
そもそも、なぜ大規模小売店が廉価販売可能だったかというと
ビール各社からの販売奨励金(リベート)が存在したからでした。
原価割れで販売したとしてもメーカーからの販売奨励金で赤字を補填することができるために安売りが可能だったということだったみたいです。
今回の法改正では
『大規模小売店による採算を度外視した安売り』
が規制の対象となりました。
目的はいわゆる”街の酒屋さん”を守ろうということなんだそうです。
でも、
1.そもそもリベートをなくせば廉価販売できないんじゃないの?
2.街の酒屋さんの窮状なんて結構前からであまり意味ないんじゃないの?
っていう2つの疑問がわきませんか?私はわきました。
疑問への回答
1.についてです。
リベートも過度なものになると独占禁止法に抵触するらしく(詳しくは調べていない)各メーカーとも今回の改正法の施行に向けて徐々に額を減らしていたらしいのですが、メーカー/小売双方にメリットがあったため廃止されずにきたそうです。
詳しくは以下サイトに譲りますがそのような理由もありリベート廃止はかなり困難なようです。
▼ビール値上げの陰に潜む「販売奨励金」の正体
http://toyokeizai.net/articles/-/174565
2.について。
『街の酒屋さん』だけでなく商店街に店舗を構えているような小規模小売店は
”大規模小売店舗法”が2000年に廃止されて以来、辛酸を嘗めてきたはずです。
価格で対抗できない小規模酒屋は、酒類を限定したり特化したりすることで生き残りをかけてきました(ほぼヨコ調べ。責任はもてませんが、たぶん、そう)。
大手メーカーが製造するビールの一般消費者への販売が売上の大半を占めるお店なんて(たぶん)ありません。
ですので、『街の酒屋さんのため』というのはかなり的はずれな目的だと言えそうです。
事実、大手スーパー等の売上が落ちもともと原価販売していたコンビニの売上伸びたそうですが、中小小売にはほとんど影響はなかったとNHKが報じています。
▼安売り規制でビール系飲料の販売落ち込む
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170712/k10011055451000.html
今回の愚痴とこれから
「結局いたずらに値段が上がっただけじゃないか」と愚痴の一つでもこぼしたくなりますが
実は、2020年から2028年にかけて段階的にビールにかかる税率が軽減されます。
(参考)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/kaisei/aramashi2017/index.pdf
が、新ジャンル(=第3のビール)に関しては実質的に増税となります。
ビール派の私にとっては嬉しい措置ではあるのですが、現在ビール系飲料を牽引しているのは価格の安い新ジャンルであり、ここの増税となればビール業界への打撃は必至です。
▼公開!「ビール系飲料」売れ筋トップ50商品
http://toyokeizai.net/articles/-/134107
これからも安く、美味しいビールが飲めることを、ただただ願うばかりです。