続きです。
前回の繰り返しになりますが内政に注力しなくていいとなれば、
外交に重きをおくようになります。
では具体的にどことどのような外交を行うのか。
ということを書ける範囲内で書いていこうと思います。
米露との関係強化
1.日米関係
日米同盟というのは戦後日本の国是と言っても過言ではありません。
アメリカとの友好関係を如何に保つかが、
政権の安定的な運営の可否を大きく左右してきました。
何度も書いていますが安倍政権はトランプ大統領の誕生を予期していませんでした。
だからこそのトランプ詣に真珠湾訪問になるわけですが
(2016/12/9【安倍首相真珠湾訪問の理由】参照)
その負い目とともにトランプ陣営へのパイプのなさから
官邸内では不安を抱えてきました。
ゆえに「トランプは信頼できる人だ」などと秋波を送り、
▼首相、トランプ氏「信頼できる指導者との考えは不変」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL23HD4_T20C17A1000000/
早期の首脳会談を求めて関係の構築をはかろうとしてきました。
そんな中、先日飛び込んできたのがこのニュース。
▼日米首脳会談で2国間貿易交渉へ…米要求に対応
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170127-00050181-yom-pol
前々からTPPが頓挫した場合、日米FTAが持ち上がるとお伝えしてきましたが、
これがまさにその状況です。
先ほども言いましたが、日本政府にとって日米関係は最優先事項ですが
トランプがこれまでの大統領と同じく
日米同盟を重視してくれるかどうかわからないという不安があります。
ゆえに日米関係は
『トランプにそっぽを向かれたくない日本』
と
『外国との政治的摩擦も厭わない強気のアメリカ』
という関係性で、米側に譲歩しながら交渉が進んでいくだろうと思います。
(こちらも前々から言っていますが、TPPよりも悪い条件を飲まされる可能性が非常に高いと見ています)
これからの日米関係は二国間貿易協定と在日米軍の再編問題を軸に展開していくこととなるでしょう。
2.日露関係
日本とロシアの関係性や互いの思惑というのは
年末に3回に分けて書いたので詳細はそちらに譲りますが
(2016/12/22,27,30【プーチンの訪日:日本が得たものと失ったもの】参照)
日本の政治的課題=北方領土問題(対ロシア)
ロシアの政治的課題=西側諸国との友好関係(対ヨーロッパ、アメリカ)
であり、当初は
『日本を西側諸国とのロシア』と『北方領土問題に決着をつけたい日本』
という構造でしたが親ロシア派のトランプ大統領の誕生により
日本の思惑は儚くも崩れ去ることとなりました。
2月1日(明日っ!)に次官級の交渉が決定しましたが
▼2月1日に日ロ次官級交渉 北方領土経済活動を協議
http://www.sankei.com/politics/news/170127/plt1701270021-n1.html
今年の始めに行いたいと明言していた首脳会談の日程はいまだ決まらずにいます。
”強い大統領”をで支持を集めるプーチンにとって領土問題は必要なければ触れたくないところ。
北方領土問題は少なくとも来年のロシア大統領選が終わるまで棚上げにされるでしょう。
”積極的平和主義”の推進
近隣国として中韓にも言及していますが大したことは言ってません。
スピーチライターのクセなのかそれとも安倍氏本人の想いなのかはわかりませんが
思いを込めたい出来事や物事に対しては情緒的な文言を散りばめるのが安倍スピーチの特徴で、
という場面の語り口が非常に情緒的なんですよね(ちなみに日米同盟の部分も結構情緒的)。
最後には
「「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄のため、皆さん、能(あた)う限りの貢献をしていこうではありませんか。」
と締めています。
これまで日本の国際貢献と言えば資金の提供が主でしたし
諸外国からも「日本は金を出すだけだ」と揶揄されてきました。
一部保守政治家内にはこの指摘に忸怩たる思いがあり、
ゆえにPKO法を制定し昨年は平和安全法制も(かなり強引に)成立させました。
今回のスピーチからも自衛隊をもっと海外に派遣して
日本の存在感を高めていきたいという思惑が見えます。
『世界の真ん中で輝く』ための施策
前回の記事に「世界の真ん中で輝く~」という文言が増えてきたとお伝えしました。
現政権の考える『輝き方』とは、
大国アメリカと再び大国に返り咲こうとしているロシアとの関係性を深めることで
世界に対する影響力を強めていくこと。
またその他の国にはこれまでどおりの”資金”の提供と、
これまでは積極的にできなかった”軍隊”(日本でどんな議論になろうが派遣先では自衛隊は”軍隊”だと認識される)の派遣、
さらにはTPPに重きをおいた多国間の貿易協定の締結の音頭を取ることで
世界における日本の『存在感』を高めていくことだと思います。
ということで米露との外交は言わずもがな
その他の国とも積極的に首脳レベルの会談を行い
資金援助を軸にしてPKO案件では積極的に自衛隊の派遣を行っていくでしょう。
また日米間の貿易協定はトランプに配慮しつつ締結し、
米国抜きのTPPの成立も目指していくだろうと思います。
ひとまずは『米露と諸外国間での日本のプレゼンスを高める』
を目標に動いていくんだろうと思います。
というわけで衆議院解散はとりあえず夏くらいまではないのかなーと勝手に思ってます。
書き散らしてあまりまとまってませんがそんな感じです。