議会の一番初めに『施政方針演説』というものを行います。
これは行政府の長である総理大臣が、
一年間の政府の基本方針や政策についての姿勢を示すために行われる演説です。
その中身から今の政府がどこに力を入れようとしているかを理解し
これから先どのような動きが読み解いていきましょう。
というのが狙いです。
施政方針演説の内容
▼第百九十三回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement2/20170120siseihousin.html
上記のURLに全文載ってるんですがお忙しい皆さんは読む時間ないですよね。
なのでかなりサクッと要点をまとめてみようと思います。
冒頭、天皇の生前退位に触れた後、以下のように展開していきます。
1.外交問題
・アメリカとの関係強化
・TPPを含めた貿易協定の推進
・露中韓との関係改善(初めにロシアに言及)
2.安倍政権の国内での成果
・”名目”GDPの増加(物価上昇を勘案した”実質”GDPじゃないことに注目)
・訪日外国人(観光客)の増加
・『強い農業』の推進
3.震災復興を含めた災害への対処
・福島の除染、公営住宅の建設推進
・老朽化が進むインフラの維持や整備
・テロ対策
4.労働について
・同一労働同一賃金の推進
・配偶者控除の見直し
・保育・介護職の賃金改善
5.将来世代について
・大学奨学金の拡充(ただし給付ではなく貸与)
というラインナップです。
全文読んでもらったらわかるんですが
『世界の真ん中で輝く~』
という文がところどころに出てきます。
このワーディングは去年の終わりくらいから見られるようになったのですが
どうやら今年は『世界の真ん中で輝く日本』がテーマみたいです。
時間があればぜひ全文目を通してみてください。
垣間見える『余裕』
大体どんなスピーチでもそうですが、
『重要だと考えている順』に言及していきます。
米国大統領の所信表明演説が日本でニュースになるように
(たぶん)日本の施政方針演説も海外でニュースになります。
各国は言及される順番・文量から
日本国政府が何を重視しているかということを読み解きます。
天皇の退位問題は昨夏急に浮上した”国民的議題”なので初めに言及するのは当然として、
この演説から現政府は「外交、特にアメリカとの関係に力を入れます」と宣言しています。
これは予想外だったトランプ大統領誕生への動揺を引きずっているんだと思いますが
(2016/12/9【安倍首相真珠湾訪問の理由】参照)
ここで真っ先に日米関係に言及できるというのも
国内の政治情勢が非常に安定しているからなんですよね。
現在衆参両議院とも与党が2/3を占める『圧倒的多数』の状態にあります。
この状態というのは野党にまったく配慮することなく
自身の思い通りに議会運営ができるということです。
しかも衆議院の解散を行わない限り約2年この状態を維持することができます。
国内の政治動向を気にしなくていいという”余裕”が
海外へ目を向けさせているというのが現状です。
さてこの先の政権運営は…
という部分をサクッと書いて終わろうと思いましたが、
せっかくなので次回しっかり書こうと思います。