トランプ発言を受けて日本の自動車メーカー株は軒並み下落だったそうです。
▼自動車株が下落 トランプ氏のトヨタ批判の影響
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170106/k10010830961000.html
大統領就任を間近に控え、内外での発言力が強まってきています。
昨年9月30日の記事で、
『トランプ大統領が”万が一”誕生すると、
日本の安全保障面での転換を迫られるでしょう』
というような事を書きました。
今回は経済面に焦点を当てて、
日本にも波及しそうな影響を考えてみようかと思います。
2回位に分かれてしまいそうな予感…
相変わらず出だしが長くてすみません。
『自由の国』アメリカで主張され始めた保護主義政策
昨年の大統領選で印象深かったのは候補者の誰もが、
自由貿易の象徴とも言えるようなTPPに反対を表明していたことです。
指名候補者争いの中でサンダースの勢いに押され変説しました。
その背景にはNAFTA(=North America Free Trade Agreement=北米自由貿易協定=アメリカ・カナダ・メキシコ3カ国による貿易協定)の存在があります。
私、メキシコに3ヶ月ほどいましたがトウモロコシ農家が
「NAFTAのお陰でおれたちは商売あがったりだ」
と嘆いていたのを非常に強く覚えており
『アメリカの一人勝ちかぁ』
なんて思っておりましたが(無駄口失礼)、
”労働”をメキシコ人に奪われたという想いが強く、
リベラルなホワイトカラー(オフィスで働く人)は
多国籍企業の一人勝ちを嘆きました。
NAFTAで痛い目を見たにも関わらずTPPが浮上してきた。
前者はアジアの安い労働力が流れ込みさらに仕事が奪われると恐怖を感じ
後者は富の偏在がより先鋭化してしまうという危機感を覚えました。
その結果が昨年の大統領選です。
行き過ぎた自由貿易が国民の反発を招き、保護主義へと舵を切らせました。
”自由貿易”の旗手がその旗を置いた瞬間でした。
トランプ政権下での保護主義政策
「Make America Great Again=偉大なアメリカよもう一度」
で当選を果たしたトランプですが
『America First=アメリカ第一』を基本にすると明言しています。
『アメリカ第一』とはどういうことか。
以下記事を読むと経済面でのポイントが浮かび上がってきます。
注目すべきは『NAFTA見直しへの言及』と『中国の為替操作国認定』の2つ。
▼トランプ次期大統領が就任100日でやること
http://www.bbc.com/japanese/37922192
安倍氏との会談直後に発表されたTPPからの撤退発言も含め
基本方針は、
①アメリカ国内の”仕事”を他国に流出させない
②国内製造業の価格競争力の維持
の2点です。
①について
上述のように、
NAFTAでメキシコ人に製造業等の労働を取って代わられた
=だからアメリカの”仕事”が少なくなったんだ!
と考える人は数多くいます。
(個人的には製造業内で機械化進められたという点も大きいとは思いますがそれは横に置いておくことにします)
その状況を改善するための施策、今彼自身が発言しているものの中では、
・移民の制限
・不法移民の国外退去
・各国(特に安い労働力の”市場”となり得る国)との関係性の再考
などがあります。
今後この傾向はますます顕著になっていくことが予想されます。
②について
製造業の『価格競争力維持』で政治が関わることができるのは
“為替”と”関税"の2つです。
為替とは外国通貨とのパワーバランス。
ざっくりとした説明になりますが自国通貨が”安”の状態だと輸出に有利になります。
つまり、円とドルの関係で言えば円高ドル安の状態が輸出に有利となります。
『中国を為替操作国と認定する』というのは、
現在製造業のメインストリームをひた走る中国を牽制し、
元高ドル安の状態を作り出したいということです。
そして関税。
関税とは輸入品に税金をかけることで国内産品に価格競争力を持たせる措置です。
今回のトヨタ騒動は関税という言葉こそ出てきましたが、
②というよりは①の「労働力確保」に重きが置かれていました。
『「高関税をかける」と脅すことで国内に工場を作らせて国内産業を振興しよう』という目論見です。
本当に関税をかけるかどうかはわかりませんが今回の騒動でこの”脅し”は有効だと認識したのではないかと思います。
日本が真に影響を被る部分は『為替』の部分だと思います。
次回は為替の是正に焦点を当てて「どう影響するか」を書いていく予定です(予定です)。