続きです。
TPP発効の条件(復習)
TPPが効力を持つためには、
>TPP域内の国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占める6カ国以上の批准
という条件を満たす必要があります。
2013年の数字になりますが、域内GDPの60%を米国が、16%を日本が占めており、
どちらかが欠けるとTPPは効力を持ち得ないということになります。
(4月28日に書いた【暗礁に乗り上げたTPP】より引用)
米大統領候補者の主張の微妙な差
ここで時期米国大統領候補となっている2人の主張を見てみましょう。
ドナルド・トランプ氏:「TPPは最悪だ」(3月のスーパー・チューズデーを前に)
ヒラリー・クリントン氏:「(TPPには)選挙後も大統領になっても反対する」(8月11日のミシガン州での演説にて)
というわけで2人とも明確にTPPへの参加を否定しています。
しかしながら、トランプ氏とクリントン氏ではTPPに関して微妙に温度差があります。
トランプ氏は、「大統領就任時にTPPが妥結されてしまっていたとしても撤回する!」
と名言していますが、クリントン氏はそこまで踏み込んだ発言はしていません。
クリントン氏変節の背景
クリントン氏は2008年のオバマ政権発足時に国務長官に就任しています。
国務大臣は日本で言う外務大臣にあたります。外交の担当者、その長です。
日本では外務省がTPPの交渉を行ったようにアメリカは国務省が担当しました。
もちろん国務長官としてクリントン氏はTPPに賛成の立場をとっていましたし、
大統領選挙のスタート時にはTPPに関して明確に否定はしていませんでした。
自称社会主義者のバーニー・サンダース氏が善戦。
サンダース氏がTPPを争点にあげ反対論陣を張ると
北米自由貿易協定(NAFTA=North American Free Trade Agreement)で痛い目にあっていたアメリカの労働者たちがそれに呼応。
クリントン氏も民主党の代表としてサンダース氏の意見を無視することはできず、
『TPPへの参加』という主張を(イヤイヤながらも)撤回せざるを得なくなった。
というのが背景です。
日本とTPPの関係、そして狙い
アメリカの状況はわかったけどなんで日本は前のめりなの?
というと、安倍政権はTPPを経済成長の切り札だと考えいるからです。
昨年の年末にアベノミクス3本の矢に変わり
『新3本の矢』というものが登場しました。
そのうちの1本が、
強い経済=名目GDP600兆円→TPPにより達成
という図式に(彼らの中で)なっています。
つまり現政権にとってアベノミクス成功の与件として
TPP妥結が組み込まれています。
ゆえに、『国会を通さないわけにはいかない』というのが彼らの主張ですし
それが『ひいては国民のためにもなる』というのが免罪符となります。
(※ここから横山の妄想が多分に含まれます。ご注意ください※)
また、現政権はクリントン氏が次期大統領に就任すると考えています。
となれば、
『発効の前提となる2カ国の内、日本が前のめりの姿勢を見せれば
アメリカ国内において強権的にTPP批准のための国内法を通過させてくれるのではないか』
という期待を抱いているのではないか。
というのが私の見立てです。
いかがでしょうか。